第8章失神

彼女には、実際に子どもがいた。

デイビッドは、病院のベッドに横たわるリリーへつい視線をやった。かつてなめらかだった肌は、いまはかえっていっそう美しく見える。

薄茶色のワンピースに身を包んだ華奢な体つきはか弱げで、それでも病人らしい青白さの中に、息をのむほどの美しさがあった。

あまりに若い。六、七歳の子どもがいるなど、にわかには信じがたかった。

「彼女、僕が連れて行きましょうか。少ししたら息子さんの病室に戻しておきますよ」ティモシー・キングが言った。デイビッドに別の用事があるかもしれないと気遣ってのことだ。

「必要ない」そう返した自分に、デイビッド自身が少し驚く。普段なら他人の事情に首...

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